ドングル改造 SDR ダイレクトサンプリング・スペアナもどき!

正確な測定の手引き


JA1XYB&JK1ECZ

 300円で買った地デジ用のドングルをSDRダイレクトサンプリングに改造しました。低い周波数から高い周波数まで測定受信したいのでコアによるトラ ンスは使用しません。受信機として使う場合にAGCの動作が一部の周波数でできなくなるためブランチ入力にコンデンサー(直列)を入れました。

 受信機としての改造はウエーブ上で多々見かけますが一部の周波数にしか対応していません。ヒントはトランスは使わないことです。直接ブランチに信号を入 れます。それでも中波や短波放送は過入力でアッテネーターやAGCをきかせないと歪んでしまいます。

 測定器として使う場合、特に自局の電波のスペクトラムを観測するにはこのままでは上手くありません。ADコンバーターの直前に0〜30デシベル程度のス テップアッテネーターが必要です。外つけではだめです。シャックは強烈な電界強度ですので接続ケーブルに電波が重畳されてしまいます。小生は 0-10-20-30デシベルのステップアッテネターを本体に組み込みました。

 測定信号はアンテナケーブルに−30デシベルのカップラー(CT)をつけ、さらに−10デシベルの固定アッテネータを付けました。肝心なのはこの部分で す。−50デシベル以上のカップラーですと測定信号が小さく途中で重畳される侵入信号と見分けがつかなくなります。

 自局のスプラッター測定やバンドパスフィルターの通過損失・減衰量など正確に測定できます。なお、自局の送信電波以外の観測では感度を上げ、外つけス テップアッテネターて使っても支障ありません。アンテナアナザイラーをSG代わりに使うのも一手です。

ちょっとしたアンテナをつなげば40KHzや60KHzのJJYもよく聞こえます。

LT-DT306BK このシリーズは基準発信の安定度が抜群です。一つのドングルで補正すればバラツキもなく他に差し替えても基準周波数の補正は不要で す。

 正確なスペクトル測定とは高価な機械を使うことではありませんね。測定電力に対応した設備が必要です。!!

アルミダイキャストケースにくみました。2個のスナップSWは0-10-20-30Dbの50Ωステップ アッテネター

500ワットの送信でもBNCを硬貨でふさげば画面フロアの線はびくともしません。

アッテネータとADコンバーター間は最短で配線(1センチ長い配線が命取りになります)

手前から改造ドングル・電力合成方向性結合器・USBチョーク・ステップアッテネーター

 平日昼間の7メガ AGCが動作していますのでフロアが上がっています。

受信機として動作させた場合、送信帯域については容易にわかりますが信号レベルや画面のダイナミックレンジの関係で受信時の相手局のスプリアス等の観測は超ローカル局の強力な電波を除いてを除いて無理です。表示画面のスペアナ付きの最新のトランシーバーでも同様です。

FT950+リニア(500ワット)の2トーン試験:(シングルトーンで0デシベル、ツートーンf1、f2は−6デシベルに)従って画面は直読できます。3次歪み−35Db程度かな!5次、7次。ギョ々!!9次まで見えます。フロアは −70デシベルです。

パソコンからの2トーン正弦波の振幅バランス

リニアアンプには−30Dbのカップラーが取り付けてありますのでいつでも送信スペクトラムを見ることができます。30DbのCTはフェライトコア43材では駄目なようです。2次巻き線はアミドンのトロイダルコアに33回巻き付けています。20Db 10回巻きでは問題ないのですが!

顛 末

 測定のまねごとでしたが気づいたこともあります。自局の電波の観測の手法やコネクターの抜きさしによる接触抵抗の増加の問題など多くを学べました。BNCや SMAコネクターは新しいうちは良いがちょっと使うと接触抵抗が上がってしまいます。理化学用のQLAコネクターは理想的なのですがアマチュアには一般的では ありません。目玉が飛び出るくらい高価です。測定に使うケーブルも2重シールドケーブルが理想です。 測定で引き回す電力は自局の電波の観測では侵入電波の関係から10dbmから20dbm位の高い電力が理想です。減衰はSDRのADコンバーター直前で行っ てください。SG信号でローパスフィルターなどの損失や減衰量を測定するにもコネクターの信頼度の関係でできるだけ高い電力で測定した方が正確です。

 今まで聞いたことのない低い周波数の受信も目新しく感じました。ACアダプターのノイズが沢山確認できたのも衝撃でした。このダイレクトサンプリング受信機 は周波数特性もフラットです。自局の送信スプリアスも正確に観測できます。ADコンバーターは丈夫です。滅多なことでは壊れません。